Powdery Mildew Control — 完全ガイド
観葉植物・塊根植物・多肉植物の
うどんこ病完全対策|原因・治し方・予防・おすすめ殺菌剤を徹底解説
「葉に白い粉がついている」「拭いても何度も出てくる」——それはうどんこ病です。植物の表面を覆うあの白い粉はカビの菌糸と胞子。「白い粉が消えた=完治」ではありません。菌は症状が出る前から植物内部に侵入しており、正しく理解して対処しないと繰り返します。この記事では原因・症状・殺菌剤の成分別解説・予防策まで完全解説します。
Biology
うどんこ病はカビなのに乾燥で広がる?正体と特殊な仕組み
🔍Symptoms
葉の白い粉は葉焼け?うどんこ病?段階別の見分け方
🧬Mechanism
治療薬で白い粉は消えない?発症2週間前から菌は侵入している
🌡️Conditions
真夏より春・秋に多い理由|月別リスクと発生しやすい環境
🧪Chemicals
カリグリーン・ラリー・トップジンM…何がどう違うのか
📊Comparison
今出ている症状に効く薬と、再発を防ぐ薬は別物
🔄Rotation
同じ殺菌剤を使い続けると効かなくなる理由と対策
🌿Plants
多肉の白い粉はうどんこ病?ワックスとの見分け方・植物別注意点
🛡️Prevention
治しても治しても再発する…根本的に止める環境づくり6選
📋Summary
うどんこ病を繰り返さないための5原則|まとめ
最重要:「白い粉が消えた」は完治ではない。予防が全てを決める
うどんこ病は症状が出る前(数日〜2週間前)からすでに植物内部に菌が侵入しています。殺菌剤を使っても既に出た病斑(白い粉)は消えません。「治療薬」とは内部の菌を退治するという意味です。発症後は拡大防止が目標。予防散布と環境改善が根本対策です。
うどんこ病とは?|カビなのに「乾燥」でも広がる特殊な病気

うどんこ病は子嚢菌類(Erysiphales目)という特殊なカビが引き起こす植物病害です。葉の表面に白〜灰色の粉状の菌糸・胞子が広がるのが特徴で、名前の由来は「うどん粉をまぶしたような見た目」から。観葉植物・多肉植物・塊根植物を含む非常に広い植物に発生します。
他のカビ性の病気(灰色かび病など)と決定的に違うのは、適度な乾燥を好み、濡れた葉では逆に発生しにくいという点。そのため「カビなら高湿度が条件」という常識が通用しない病気です。
| 項目 | うどんこ病 | 灰色かび病(比較) |
|---|---|---|
| 原因菌 | 子嚢菌類(Erysiphales) | Botrytis cinerea |
| 見た目 | 白〜灰白色の粉状・綿状 | 灰色のカビが密生 |
| 好む温度 | 17〜25℃(春・秋に多い) | 15〜25℃(年間発生) |
| 好む湿度 | 60〜80%程度の中〜低湿度 | 高湿度(95%前後) |
| 葉が濡れると | 発生しにくくなる | 発生・拡大しやすい |
| 感染経路 | 風によって飛散する胞子 | 水・風・接触 |
| 有効な殺菌剤 | DMI系・ベンズイミダゾール系・炭酸水素カリウムなど | ベンズイミダゾール系・ボスカリド系など |
| 予防 vs 治療 | 予防が最重要。治療効果は初期に限る | 予防が重要。発症後は除去が基本 |
うどんこ病は生きた植物細胞しか感染できない「絶対寄生菌」
うどんこ病の病原菌は生きた植物の細胞(葉緑体)からしか栄養を摂れない絶対寄生菌です。そのため「植物が弱ったから発症する」のではなく、元気な成長期の植物でも感染します。また種ごとに寄主特異性があり、バラのうどんこ病菌はキュウリには感染しません。ただし家庭園芸では混合感染の可能性もあります。
うどんこ病の症状の見分け方|初期・中期・重症の段階と混同しやすい症状

うどんこ病は初期に対処するほど回復が早く、薬剤の効果も出やすくなります。以下の段階別症状を覚えてできるだけ早い段階で発見することが最重要です。
白い粉が点状に現れる
葉の表面に白〜灰白色の小さな点が散在。まるでうどん粉をまぶしたような見た目。この段階なら拭き取り後に殺菌剤を散布することで拡大を防ぎやすい。
葉全体に白い粉が広がる
白い粉が葉の大部分を覆い、葉が変形・萎縮し始める。光合成能力が著しく低下。他の株への飛散リスクが高まる段階。殺菌剤の繰り返し散布が必要。
葉が黄化・落葉・枯死
菌が植物組織を破壊し葉が黄化・落葉する。有性胞子(閉子殻)が形成され越冬・翌年の感染源になる。即隔離・患部除去・殺菌剤処理が必要。
混同しやすい症状との見分け方
うどんこ病と間違えやすい症状が3つあります。①葉焼け・肥料焼け:白や褐色の斑点が出るが、粉状でなく拭いても取れない。②カルシウム欠乏:葉先が白くなるが、粉っぽくない。③日光反射(多肉の疣):多肉植物の場合、元々白いワックス成分が粉状に見えることがある。うどんこ病の白い粉は「拭くと取れる」「やや広がっている」「再び出てくる」のが特徴です。
| 症状 | うどんこ病 | 葉焼け・肥料焼け | カルシウム欠乏 |
|---|---|---|---|
| 見た目 | 白〜灰白の粉状・綿状 | 白・褐色・茶色の斑点 | 葉先・葉縁が白〜黄白 |
| 触感 | 粉が拭き取れる | 拭き取れない(壊死) | 拭き取れない |
| 広がり方 | 日を追って広がる | 新たに広がらない | 新芽に出やすい |
| 出る場所 | 葉表面・新芽・茎 | 光が当たる面 | 葉先・成長点周辺 |
| 対処法 | 殺菌剤・環境改善 | 遮光・施肥管理 | カルシウム補給・水管理 |
うどんこ病の発症メカニズム|なぜ予防散布が最も重要なのか

うどんこ病が繰り返す最大の理由は「見えてから対処する」という発想にあります。病原菌は白い粉として目に見える何日も前から、すでに植物内部に入り込んでいます。このメカニズムを理解することで、なぜ予防散布が必要かがわかります。
「白い粉が見えてから散布」では2週間遅い
白い粉が見えたとき、菌はすでに植物内部で2週間活動しています。この段階で「治療型」の殺菌剤を使えば内部の菌を退治できますが、既についた白い粉(症状)は消えません。最も効果的なのは、発症が予想される時期の前から「予防型殺菌剤」を散布して菌を定着させないことです。
🛡️ 予防型殺菌剤の役割
- 胞子の発芽・侵入を最初の段階でブロックする
- 植物表面にバリア膜を形成するタイプが多い
- 発症前の定期散布(2〜3週間に1回)が基本
- 代表:ダコニール(TPN)、ボルドー剤
- すでに出た症状への効果はほぼない
💊 治療型殺菌剤の役割
- 植物内部に浸透し、すでに侵入した菌を退治
- 感染初期〜中期に有効。重症には限界あり
- 白い粉(症状・病斑)を消す効果は基本ない
- 代表:トップジンM、カリグリーン、ラリーMF
- ローテーション使用で抵抗性を防ぐ必要がある
うどんこ病の発生しやすい時期と環境条件|春・秋の温暖乾燥が最大警戒

うどんこ病は高温・低湿度より、20〜25℃の温暖な気温と中程度の湿度を好みます。真夏よりも春・秋のほうが発生しやすいという点で、ハダニや他の多くの害虫と逆の傾向があります。
| 条件 | うどんこ病が好む環境 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 温度 | 17〜25℃が最適(30℃を超えると活動が低下) | 春・秋の温暖期に特に予防管理を強化 |
| 湿度 | 60〜80%の中程度の湿度を好む(高湿度・葉の濡れは逆に不利) | 過乾燥と過湿を避ける。適度な葉水が有効 |
| 風通し | 空気の停滞した環境で胞子が蓄積しやすい | サーキュレーターで常に空気を動かす |
| 窒素過多 | 窒素肥料の与えすぎで柔らかい葉が増え感染しやすくなる | 肥料バランスを見直す(窒素過多を避ける) |
| 密植・密集 | 株間が狭いと胞子が株間で循環しやすい | 十分な株間を確保する |
| 日照不足 | 光が当たらない葉は菌が定着しやすい | 適切な日当たりを確保する |
うどんこ病の早期発見チェックリスト|週1回これだけ確認する

うどんこ病は柔らかい新芽・若葉に最初に発生することが多い。成長点周辺・展開したばかりの葉を毎週確認します。春・秋の成長期は特に注意が必要です。
うどんこ病は葉の表面だけでなく葉裏にも発生することがあります。また茎や蕾・花にも感染するため、葉だけでなく植物全体を見回す習慣をつけましょう。
ごく初期は「まぶしたような白い点々」として現れます。白い病斑は軽く拭くと一時的に取れますが数日後に再び現れます。「拭いて取れる白い粉」はほぼうどんこ病と判断してよいです。
感染が進むと葉が波打つように変形したり、黄化したりします。新芽が歪んで展開する場合も感染の可能性があります。葉の外観全体の異常にも気を配りましょう。
うどんこ病の胞子は風で飛散するため、1株で発見したら周囲の株も感染している可能性があります。発見した株の前後・左右の株も合わせて点検してください。
うどんこ病対処の基本ステップ|発見から薬剤散布・環境改善まで
他の株への飛散を止める
うどんこ病の胞子は風で飛びます。発見したら即座に他の植物から離して隔離します。運ぶ際は振動で胞子を飛ばさないよう慎重に移動させてください。
感染源を物理的に除去
白い粉が出た葉・ひどく変形した葉を手で取り除きます。取り除いた葉はビニール袋に密封して廃棄(コンポスト不可)。切り口から感染拡大しないよう慎重に。
散布前に胞子量を減らす
濡らしたティッシュや布で白い粉をそっと拭き取ります。拭き取ることで胞子の量を減らし、薬剤の効果が出やすくなります。拭き取った布は廃棄。
葉の表裏にまんべんなく
殺菌剤を葉の表裏・茎・蕾に丁寧に散布します。葉が乾いた状態で散布するのが基本(高湿度・葉が濡れている時は避ける)。早朝または夕方が理想的です。
成分を変えて繰り返す
1回の散布で完全駆除は難しいため、7〜10日間隔で成分を変えながら2〜3回散布します。同じ成分の連用は抵抗性リスクがあるため必ずローテーション。
根本原因を取り除く
薬剤で菌を退治しても、環境が変わらなければ再発します。風通し・適切な株間・肥料バランスの見直しが再発予防の根本対策です。
*殺菌剤の成分系統・製剤タイプ・ローテーションの基礎知識は農薬完全ガイドでも詳しく解説しています⬇︎⬇︎

殺菌剤の有効成分を完全解説|うどんこ病に使える4系統

うどんこ病に使える殺菌剤は大きく4系統に分かれます。それぞれ予防効果・治療効果・抵抗性リスクが異なるため、理解して使い分けることがポイントです。
重曹(炭酸水素ナトリウム)の仲間で、食品添加物由来の安心成分。うどんこ病菌のpHを変化させて菌を死滅させる仕組み。Amazonの農薬ランキングで常に上位に入る人気成分で、食品由来のため残留リスクが少なく、子供・ペットのいる環境でも使いやすい。発症初期の治療〜予防管理に有効。
- 炭酸水素カリウム(商品名:カリグリーン)— うどんこ病専用。Amazonランキング常連
この成分が入っている主な製品
エルゴステロール生合成阻害(DMI)系。菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの合成を阻害して菌を死滅させます。植物内部に浸透して菌を内側から退治できるため、治療型としての効果が最も高い系統です。うどんこ病・さび病・黒星病など幅広い糸状菌病に対応。ただし連用で抵抗性が形成されやすいため、ローテーション使用が必須。
- ミクロブタニル(商品名:ラリー乳剤)— 治療効果が高いDMI系の代表成分
- ヘキサコナゾール(商品名:アンビル)— 幅広いカビ系病気に対応
- テブコナゾール(商品名:シルバーキュア)— 果樹・野菜でよく使われる
この成分が入っている主な製品


ベニカXネクストスプレー
菌の細胞分裂(チューブリン重合)を阻害する系統。植物への浸透性があり予防・治療の両効果を持ちます。うどんこ病だけでなく灰色かび病・黒星病など幅広いカビ系病気に対応できる汎用性が特徴。農薬の「三強」の2つがこの系統で、コスパが良く入手しやすいのも強み。同系統同士(トップジンM+ベンレート)の連用は抵抗性リスクがあるため、DMI系や保護殺菌系と交互に使用。
- チオファネートメチル(商品名:トップジンM水和剤)— 殺菌剤三強の一角。幅広い病気に対応
- ベノミル(商品名:ベンレート水和剤)— トップジンMと並ぶ二大巨頭
この成分が入っている主な製品


トップジンM水和剤


ベンレート水和剤
菌の複数の代謝系を同時に阻害する「多作用点型」の殺菌剤。作用点が多いため抵抗性が形成されにくいのが最大の特徴。予防型として使われることが多く、治療効果はDMI系より劣る。ローテーションのつなぎ・予防管理に最適な系統。
- クロロタロニル(TPN)(商品名:ダコニール1000)— 幅広い糸状菌病に予防効果
- マンネブ・マンコゼブ(商品名:ジマンダイセン)— ベト病・疫病にも有効
この成分が入っている主な製品


ダコニール1000
*ここまで紹介した殺菌剤とは別に、殺虫+殺菌を1本でカバーする複合スプレーとして「ベニカXネクストスプレー」が上の成分カードに登場しました。ベニカシリーズにはXスプレー・Xファイン・Xネクストと複数のラインがあり、それぞれ有効成分・対応病害虫・使える植物が異なります。うどんこ病の初動対応や殺虫とのローテーションに組み込む前に、どのベニカを選べばいいか確認しておくと安心です⬇︎⬇︎


うどんこ病予防型 vs 治療型|殺菌剤の効果比較表で正しく選ぶ


「今ある白い粉に効かせたいのか、再発を防ぎたいのか」——目的によって選ぶ薬剤が変わります。以下の表で各成分の予防・治療への対応力を確認してから薬剤を選んでください。
| 成分名(商品名) | FRACコード | 予防効果 | 初期治療 | 中期治療 | 抵抗性 リスク |
使い方のポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 炭酸水素カリウム (カリグリーン) |
食品成分 | △ | ◎ | △ | 低い | 初期発見時に即散布。安心・安全 |
| ミクロブタニル (ラリーMF) |
FRAC 3 | ◎ | ◎ | ◎ | 高い | 発症後の治療に最有力。連用不可 |
| チオファネートメチル (トップジンM) |
FRAC 1 | ◎ | ◎ | △ | 中程度 | ベンレートと交互に。汎用殺菌剤 |
| ベノミル (ベンレート) |
FRAC 1 | ◎ | ◎ | △ | 中程度 | トップジンMと同系統。交互に使用 |
| クロロタロニル(TPN) (ダコニール) |
FRAC M5 | ◎ | △ | ✕ | 低い | 発症前の予防管理に最適。ローテのつなぎに |
◎=高い効果 △=部分的な効果 ✕=ほぼ効果なし(目安)
状況別おすすめの組み合わせパターン
【初期発見時】 カリグリーン(即散布) → 7日後:ラリーMF(治療) → 7日後:ダコニール(予防管理へ)
【予防管理期】 春3月から:ダコニール(2週間に1回) → 発症したらカリグリーンに切り替え → 治療型と交互にローテーション
【中期以降の重症】 ラリーMF(治療強化) → 7日後:トップジンM → 7日後:カリグリーン → ダコニールで予防管理へ
うどんこ病の抵抗性対策ローテーション|FRACコードを変えて使い続ける


うどんこ病菌も繰り返し同じ成分を使うと抵抗性(耐性)を持つ個体が残って増殖します。特にDMI系(FRAC 3)は抵抗性が形成されやすいため、FRACコードを変えながら散布することが必須です。
🔄 うどんこ病 殺菌剤ローテーション(推奨パターン)
(食品由来・即効)
(治療型・強力)
(予防+治療)
(予防・抵抗性低)
| NG行動 | なぜダメか | 正しい行動 |
|---|---|---|
| カリグリーンだけずっと使い続ける | 食品成分でも効果が薄れる。発症後の治療には限界がある | カリグリーン→ラリーMF→トップジンMでローテーション |
| ラリーMFを毎回使う | FRAC 3系への抵抗性が急速に形成される | FRAC 3は1シーズンに最大2〜3回を目安に |
| 白い粉が消えたから散布をやめる | 内部の菌がまだ残っている。再発確定 | 症状が消えても合計2〜3回は散布を続ける |
| 同じFRACコードの成分を交互に使う | 商品名が違っても同じFRACコードは同系統扱い | FRACコードを確認してから別系統を選ぶ |
植物別うどんこ病対策のポイント|観葉・塊根・多肉で違う注意点


室内管理が多く風通しが悪くなりやすい。特に新芽の展開期(春・秋)に発生しやすい。幅広い薬剤が使いやすく、水洗いもしやすい植物が多い。
- ゴムの木・フィカス系:新芽に集中発生。展葉期の予防散布が有効
- パキラ・シェフレラ:風通しが悪いと密集葉に胞子が蓄積しやすい
- ドラセナ・ユッカ:葉の根元に白い粉が出ることがある
- 薬剤:カリグリーン・トップジンMが使いやすい。葉水で湿度管理


葉が薄く繊細な種が多く、症状が出ると落葉につながりやすい。成長期の新芽に特に発生しやすく、早期発見が命。薬剤の希釈濃度に注意が必要。
- アデニウム:成長期の新芽に集中。花芽にも感染するため開花期は特に注意
- グラキリス(パキポディウム):新芽・幹肌に発症することがある
- コーデックス系全般:発症すると落葉が早く光合成能力が急低下
- 薬剤:カリグリーン(安全性高)→ラリーMFのローテが安定。散布は早朝・夕方に


元々白いワックス成分を持つ種があり、うどんこ病との見分けが難しいことがある。葉がロゼット状で密集するため薬剤が届きにくく、薬害も出やすい。
- エケベリア系:中心部の新芽に発生。白いワックスとの見分けが重要
- アガベ:棘の付け根・葉先に白い粉が出ることがある。拭いて取れるか確認
- カランコエ・多肉全般:真夏の直射下散布で薬害が出やすいため時間帯に注意
- ⚠️薬剤注意:乳剤の原液散布は厳禁。気門封鎖系(ロハピ)も一部に薬害あり。テスト散布から
多肉植物の「白い粉」はうどんこ病ではないかもしれない
エケベリア・コチレドン・パキフィツムなど一部の多肉植物は元々葉面に白い粉状のワックス(白粉、ブルーム)を持っています。このワックスは触ると取れますがうどんこ病ではありません。見分け方は①以前はなかった場所に新たに出たか、②日を追って広がっているか、③葉の変形や黄化を伴っているかで判断してください。
うどんこ病の再発を防ぐ予防策6選|環境を整えるだけで発症率が激減する


胞子の滞留を防ぐ
空気の流れがないと飛来した胞子が蓄積します。サーキュレーターで24時間風を回すだけで胞子の定着率が大幅に下がります。室内管理の植物では特に重要。


株間の空気循環が命
株が密集すると胞子が循環して複数株への感染が広がります。最低でも葉が触れ合わない間隔(5〜10cm以上)を確保することで感染連鎖を断ち切れます。


柔らかい葉がリスクを上げる
窒素過多で作られた柔らかい葉はうどんこ病菌が侵入しやすい。施肥は「少量多回」が基本。液肥をやりすぎず、りん酸・カリウムとのバランスを保ちましょう。


発症前から守るのが唯一の正解
うどんこ病は発症後よりも発症前の予防が圧倒的に効果的です。春(3月)と秋(9月)に入ったら、症状がなくてもダコニールやカリグリーンの予防散布を開始しましょう。


日光が当たらない葉が感染しやすい
光が当たらない葉は菌が定着しやすくなります。室内でも窓際などで十分な光を確保してください。密集した株は下部の葉に光が届かなくなるため、整枝も有効です。


購入株からの持ち込みが最多の原因
購入直後の株が感染源になることが非常に多いです。新しく購入した植物は1〜2週間、既存の株から離して管理し、症状が出ないことを確認してから合流させましょう。
よくある失敗と正しい対処法|これをやると必ず再発する


| よくある失敗 | なぜ失敗するか | 正しい対処 |
|---|---|---|
| 「白い粉が消えたから治った」 | 白い粉(病斑)が消えても内部の菌は残る。1〜2週間後に再発確定 | 症状が消えても2〜3回散布を続ける |
| 「治療薬で白い粉が消える」と期待した | 治療薬は内部の菌を退治するが、既存の病斑は消えない | 「拡大を止める」「内部の菌を退治する」が治療薬の役割と理解する |
| 「カリグリーン1本で管理した」 | 食品由来でも効き目に限界あり。発症後の中期以降には力不足 | カリグリーン→ラリーMF→トップジンMでローテーション |
| 「症状が出てから初めて殺菌剤を買いに行った」 | 発症後は既に2週間のロス。治療効果が得られにくい段階 | 春・秋前にダコニールを予防で散布。殺菌剤は常備する |
| 「患部の葉を触ったまま他の株を触った」 | 手・道具に胞子が付着して接触感染が広がる | 作業後は手洗い・道具消毒。使い捨てグローブ推奨 |
| 「密集させたまま殺菌剤を使い続けた」 | 環境が変わらないため薬剤を使っても再発する | 株間確保・通気改善が根本対策。環境を変えないと終わらない |
| 「ラリーMFを毎回使い続けた」 | FRAC 3系への抵抗性が急速に形成される | 1シーズンに2〜3回まで。他系統とローテーション |
うどんこ病でよくある質問(FAQ)


拭き取っても治りません。白い粉はカビの菌糸と胞子ですが、菌は葉の内部にすでに侵入しています。拭き取れるのは表面に出た胞子だけで、内部の菌は拭き取れません。拭き取ること自体は「薬剤の効果を上げるための前処理」として有効ですが、それだけでは再発します。拭き取り後に必ず殺菌剤(カリグリーン・トップジンMなど)を散布してください。
初期の軽い症状であれば、カリグリーンだけでも拡大を抑えられることがあります。ただし中期以降の重症には治療効果が不十分です。カリグリーンは食品由来で安心・安全なため、初動対応と予防管理のつなぎには非常に有効ですが、発症が広がっている場合はDMI系(ラリーMFなど)のような治療型殺菌剤との組み合わせが必要です。カリグリーン単品に頼りすぎず、状況に応じてローテーション使用を検討してください。
なりません。うどんこ病で白化・変形した葉は殺菌剤を使っても元の状態には戻りません。しかし菌の活動を止めることで「それ以上悪化しない」状態を作れます。その後出てくる新葉は健全に展開します。見た目の回復には時間がかかりますが、根が健全なら植物全体としての回復は期待できます。重症で変形した葉はあえて取り除いてしまい、新葉の展開を待つという判断も有効です。
うどんこ病の病原菌は植物の葉細胞にしか感染できない「絶対寄生菌」です。人間・ペット(犬・猫・うさぎなど)には感染しません。ただし殺菌剤自体の農薬成分は吸い込んだり触れたりしないよう注意が必要です。散布時はマスク・手袋を着用し、散布後は換気してください。食品由来のカリグリーンは農薬の中でも安全性が高いため、小さな子供やペットのいる環境での使用にも比較的適しています。
一般的な重曹(炭酸水素ナトリウム)はカリグリーン(炭酸水素カリウム)の近縁成分で、似た効果は期待できますが農薬として登録されていないため農薬取締法上の問題があります。また希釈濃度の管理が難しく、濃すぎると葉焼けの原因になります。正規の農薬として登録されているカリグリーンを使用するのが安全・確実な方法です。「薬剤は使いたくない」という場合でも、カリグリーンは食品添加物由来で非常に安心な成分ですので、積極的に選んでください。
葉については、重症で変形・枯死した葉は取り除いてビニール袋に密封廃棄するのがおすすめです(コンポストや堆肥には使用しないこと)。ただし軽い感染の葉を全部取り除く必要はありません。土に関しては、うどんこ病菌は生きた植物細胞が必要な絶対寄生菌のため、土の中では生存できません。土の廃棄は必要ありません。土を通じて感染が広がることはなく、感染源は主に空気中を漂う胞子です。
まとめ|うどんこ病攻略の5原則


うどんこ病の白い粉(病斑)は殺菌剤で消えません。薬剤が退治するのは植物内部の菌です。見た目が改善しても続けて散布し、菌の再活動を防ぐことが重要です。
うどんこ病は発症前の予防が最も効果的です。症状がなくても春・秋の温暖期が来たら、ダコニール(保護殺菌)やカリグリーンで2週間に1回の予防散布を開始しましょう。
同じ系統の連用は抵抗性を生みます。炭酸水素カリウム系(食品由来)→DMI系(FRAC 3)→ベンズイミダゾール系(FRAC 1)→保護殺菌系(FRAC M5)とローテーションしてください。
薬剤だけでは根本的な解決になりません。サーキュレーターで通気を確保し、適切な株間を保ち、窒素肥料の与えすぎを避けることで、発症しにくい環境を作ることが長期的な答えです。
新芽・若葉を週1回チェックする習慣だけで、初期発見率が大幅に上がります。初期なら殺菌剤1〜2回で拡大を止められます。「白い粉が広がってから気づく」ではなく「点状の初期症状で気づく」ことを目指してください。
*殺菌剤の成分系統・製剤タイプ・抵抗性の考え方を基礎から学びたい方はこちらの記事もどうぞ⬇︎⬇︎











コメント